船橋屋くず餅 きな粉と黒蜜をたっぷりかけて食べる 亀戸天神前本店
創業は文化二年(1805年)
亀戸天神の門前に船橋屋が店を出したのは、文化二年(1805年)
(十一代将軍徳川家斉の頃で、ちょうどこの年、幕府はロシア皇帝の親書をもって来航した特使レザノフを半年待たせた上、追い返してしまう。これが後の露寇事件を招く。)
下総国の船橋で豆腐屋を営んでいた勘助さんという人が、当時、亀戸天神前に茶店が少ないことに目をつけ創業した。
その勘助さんの地元の船橋は、良質な小麦の産地。湯で練った小麦澱粉をせいろで蒸し、黒蜜きな粉をかけて餅を作ったところ、それが評判を呼び江戸の名物に数えられるようになったそうだ。
亀戸天神本店
亀戸天神本店は、持ち帰りだけでなく、食べていける喫茶も併設している。
席に着く前に、注文をして木札をもらう。その木札を目安に甘味を運んでくれる。
船橋屋の看板は、作家の吉川英治が揮毫した。
今も亀戸天神前本店の喫茶室に、その看板が掲げられている。
ここ本店は、昭和20年3月10日の東京大空襲で全焼したが、昭和28年には檜造りの今の本店を建て、60年以上たった2016年11月に改装リニューアルし、現在に至る。
豆くず餅
いつもは、くつ餅だけど、今回は豆くず餅を注文。
意外なことだけど、くず餅は和菓子には珍しい発酵食品。澱粉を十五ヶ月もの間、自然発酵させる。それゆえ弾力があり、少し粘りがあり、それでいて柔らかい。
お土産で、、ここのくず餅をいただくと、ついつい先にきな粉をかけて、黒蜜をかけて食べてしまうが、ここ本店で出されるくず餅のように、黒蜜をかけてからきな粉をかけて食べるのが本道。
あんみつ
くず餅が船橋屋の1番人気商品だけれど、お店の人曰く次に人気なのが、あんみつだとか。
寒天をテングサからちゃんと作っているそうだ。食べてみると、やや弾力があり、とても美味。
それとやはり、黒蜜が美味しい。
吉川英治は執筆に行き詰まると、よくパンにここの黒蜜を付けて食べていたようです。
開業から途中、維新、関東大震災、をくぐりぬけたものの東京大空襲で全焼、澱粉を貯蔵していた大樽も灰となる。
何気なくいつも賞味させてもらっているが、ここまでやってこられたご苦労も並大抵のものではないと思う。
いつまでも残ってもらいたい江戸の味です。
船橋屋 亀戸天神前本店
〒136-0071 東京都江東区亀戸3−2−14
TEL:03−3681−2784
喫茶:9:00〜17:00
持ち帰り:9:00〜18:00