8月中旬のある日、くもり気味なれど35度近くあって、じめじめとした最悪のコンディションのなか、港区白金台の自然教育園を散策してきた備忘録です。
結論から言うと、意外と見応えありました。
夏休み真っ只中だけど、想定していた通り人はほとんどいない。今回はどんな生き物たちに会えるだろう。
小葉擬宝珠(コバギボウシ)
今回いたるところで見られたのが、小葉擬宝珠(コバギボウシ)。
「擬宝珠」とは橋の欄干によくあるスライムのような形をした装飾品で、下の写真にあるように蕾がよく似ているからというけど、そんなに似ているかな。
小葉擬宝珠の蕾とオオスカシバ
この蕾から擬宝珠を連想できる豊かな想像力が素晴らしい。この大きな蜂みたいなのは、オオスカシバ(チョウ目スズメガ科)。
体長約3センチほどと大きく、夏の日中に活動する「蛾」の一種。よく花の近くをホバリングして蜜を吸っています。
禊萩(ミソハギ)
萩に似ていて禊に使っていたというところから禊萩。別名 精霊花(ショウリョウバナ)とも言われる。やはり宗教的な儀式によく使われていたのかな。
漢方では千屈菜(せんくつさい)と言われ、下痢止めに用いられるそうです。
キタキチョウ
キタキチョウ。キタキチョウは夏型と秋型があって、夏型は外縁が黒っぽく(グレーぽく)帯のようになっていて、それが少し残るかないのが秋型とのこと。
釣鐘人参(ツリガネニンジン)
山菜のトトキは、このツリガネニンジンのこと。
よく春先の山菜料理で、葉っぱをおひたしにしたり天ぷらにしたり、何度も食べたことあるけど美味しいです。
ちなみに長野では
「山でうまいはオケラにトトキ、里でうまいはウリ、ナスビ」と言うそうですよ。
根っこは、沙参(シャジン)と呼ばれる漢方の生薬にもなっていて、鎮咳、痰切りなどに効果があるそうです。
河原撫子(カワラナデシコ)
今回のお目当の1つ、河原撫子(カワラナデシコ)。
大和撫子のナデシコ。秋の七草の1つです。
8月ということで戦争物の小説、映画、ドラマを最近よく見ていると
「大和撫子なら・・」とよく出てくるので、実際に咲いているナデシコを見に行こうと思い立ったのもありまして。
もう1つのお目当のナンバンギセルは、今回は見つけられなかった(涙;
平賀源内が持って来た? 虎尾鈴懸(トラノオスズカケ)
さて、自然教育園には、本来関東に分布していないとされる植物がこの時期花を咲かせています。
ゴマノハグサ科の多年草 虎尾鈴懸(トラノオスズカケ)です。日本では四国と九州で分布が確認されています。
では、なぜ東京の自然教育園に生息しているのか・・・?
自然教育園は、江戸時代、松平讃岐守の屋敷跡地でした。
讃岐高松藩五代藩主の松平頼恭(よりたか)は、家臣の平賀源内に薬草の栽培を命じています・・・ということは、どうやら平賀源内が頼恭の故郷からこの江戸の屋敷へ持参し移植したものではないか?と言われているそうです。
そんな自然教育園のトラノオスズカケも昭和24年(1949年)に絶えたと考えられていましたが、平成19年(2007年)に園内で再発見されました。
クモの喧嘩
おそらくジョロウグモ。縄張り争いかな?すごく動きが早くあっという間に決着がついた。動画をとっておけばよかった。
今回、いたるところクモクモクモ。クモの最盛期。虫も多いですからね。
地面の落書きのような跡・・・
散策途中、ちょっと気になった地面に無数にあった白い糸のような?もの。
以前にも何度か見た記憶があるけど、糸というか物質なのか、なにかでひっかいた跡?なのかよくわからないけど、もしかしたらクモの糸なのかな。
詳細不明。
〔追記〕
自然教育園で出している「見ごろ情報」(訪れた時のではなくて、次号)に説明がありました。
これはキセルガイの仲間が移動した跡だそうです。
やっぱり跡だったんですね。
シオカラトンボ(オス)
シオカラトンボ(オス)
オオシオカラトンボと似ているけど、オオシオカラトンボのオスはもっと全体的に青く、目のところが黒い。
ちなみにシオカラトンボのメスは全体的に茶色がかった色で「ムギワラトンボ」とも言われています。
ニホンカナヘビ
ニホンカナヘビ。
今や東京都では、レッドリスト(準絶滅危惧)にのっており絶滅の恐れあり。
花を撮っていたら、じーっとこちらを見つめていた。特に逃げる気配もなかったので、ニホンカナヘビさんも撮影。
ちょっとずつ近づいても・・・あまり逃げない。
ニホンカナヘビは五本の指を持っていて、五本指まで撮れるかな・・・
と、思ったら逃げた。
〔2019年8月中旬 散策〕