墨田区太平 蝶谷本店 天下太平焼(どらやき)
法恩寺橋の東側、蔵前橋通り沿いに、文政9年創業の蝶谷本店がある。
ここの名物は、太平焼き。
添加物、保存料等は使わず、卵と牛乳、ハチミツだけで焼き上げる、昔ながらの味わいのどらやき。
種類の多さに驚いた。
こしあん、つぶあん、しろあんをはじめ、緑茶あん、いちごあん、りんごあん、かぼちゃん、くるみあん、マロンあん、ゆずあん、ずんだあん・・・
まだまだある。種類の多さに迷ってしまう。
女将さんに聞くと、迷ったら、こし、つぶの定番を、とすすめられた。
「蝶谷」とうすく刻印されている。
銀河系を思わせるような?というの変な表現だけど、あんが多すぎず、少なすぎず綺麗につまっている。
甘さも甘すぎず、ちょうどいい。
本所歴史散歩の途中で見つけたので、1つかしか買わないのが申し訳なかったが、気さくに色々お話をしていただけた。
「この辺りは、もう古いお店も、もうほとんどたたんでしまって今はないのよね」と。
昔からある、古い家なども、子供たちが、周りに出ると意外に本所には戻らないそうな。
その中でも、ここ蝶谷本店の創業は文政9年(1826年)というから、この界隈で有名な、本所の銕、鬼平こと長谷川宣以(1745〜1795)が生きていた時代より少しあとの創業。
日暮里の羽二重団子が文政2年だから、羽二重団子とほぼ同時期。
お店の前に「犯科帳をあるく」という幟がたてられていたので聞くと
「歴史散策の人は、よくきますよ。」
「先日、テレビの取材もあったんだけど、中国のテレビらしく、中国でしか放送されないのよ〜」と、笑いながら話してくれた。
太平焼きが置かれている横に、なにやら木造の型が展示してあった。
聞いてみると、昔、お菓子作りに使用していた型らしい。
ほとんどは、明治ごろに作られた型だそうだ。
お菓子の型とはいえ、彫りも細かく、なにかの芸術作品のよう。
カビや汚れ、欠けなどもなく、状態も良い。
関東大震災、戦災等の被害にもあわずよく残ったものだと思った。
とても良いものを見させていただいた。
長々とお話させてもらって太平焼き一つでは申し訳ないのと他の味も食べてみたくなったので、ずんだあんの太平焼きも購入。
それにしても、名前がいい。
「天下太平焼」
墨田区太平にあるから、太平焼なのかもしれないけど、天下がついて天下太平(天下泰平)。
文字通り、世の中がよく治り安泰な日々が続いほしいと思いつつ、いただいた。
鬼平犯科帳はじめ、多くの捕物帳の舞台になった本所。
本所巡りのお共に切絵図と、小腹がすいたら太平焼きを食べてまわるのもいいかもしれないです。
蝶屋本店
〒130-0012 東京都墨田区太平1−18−22
TEL:03−3622−8635
営業時間:9:30〜19:00
定休日:日曜日