今回は、竹橋の国立公文書館で令和元年5月12日まで開催されている、特別展「江戸時代の天皇」について。
平成31年4月6日(土)〜令和元年5月12日(日)まで、期間中無休でやっています。
近くに用があり、たまたま訪れた特別展でしたが思いの外楽しめたので一部を備忘録を兼ねて記したいと思います。
信長、本能寺の変直前に天皇より征夷大将軍を打診されていた!?
特別展「江戸時代の天皇」ですがその前の、安土桃山時代からはじまります。
「日々記(にちにちき)」 公家 勧修寺晴豊の日記
天正10年(1582年)4月25日、正親町天皇は公家の勧修寺晴豊を使者とし、織田信長に太政大臣、関白、征夷大将軍のいずれかへ任官したいという意向を伝えています。
しかし信長はすぐには返答せず、6月2日に本能寺の変が起き死去してしまいました。
江戸時代の改元の制定について
「教令類纂(きょうれいるいさん)」 慶長年間から天明にかけて幕臣 宮崎成身が書いた江戸幕府の私撰法例集 禁中并公家中諸法度
一 改元、漢朝年号之内、以吉例可相定、但重於習礼相熟者、可為本朝先規之作法事
改元は漢朝(中国)の年号の内から良い事例に基づいて決定すること。ただし元号選定が習熟したなら本朝(日本)の先例の作法に基づいて改元すること。と見えます。
江戸時代になると徳川幕府は「禁中ならび公家中諸法度」を制定して、朝廷への行事や改元についても介入するようになります。
江戸時代の新天皇 即位式の様子
「御即位庭上之図(ごそくいていじょうのず)」
貞享4年(1687年)4月28日に行われた東山天皇の即位式の様子を描いた図です。
天皇の座る玉座、高御座(たかみくら)も描かれていますが、女官の持つ団扇で天皇の姿は見えません。
庭にも高御座周囲にも「少納言」「命婦(みょうぶ)」などの官位を持った者が列席しています。
水戸黄門が作成させた「礼儀類典」
「礼儀類典」全515冊 紅葉山文庫旧蔵
水戸黄門こと水戸藩2代藩主徳川光圀は、朝廷の儀式の実用に役立てることを目的に、儀礼の調査と編纂をします。
「礼儀類典」全515冊 紅葉山文庫旧蔵
朝廷で行われていた儀式などを、延長8年(930年)〜天文元年(1532年)までの日記類などの記録から、多くの時間と人をかけて抽出・分類しました。礼儀類典は全515冊にも及びます。
現在の即位式はじめ数々の儀式にも活かされているのかもしれません。
他にも朝廷と民衆の関わり(江戸時代も意外と関わりがあった) などなど、興味深い資料が多数展示されていました。
「平成」の書の原本も展示
令和への改元にあたり、あの「平成」の書の原本も特別に展示されています。
令和元年5月12日まで無休、無料で開催しています。