佐渡 北沢浮遊選鉱場跡 Kitazawa Flotation Plant
今回は「佐渡のラピュタ」こと「北沢浮遊選鉱場跡」へ撮影に行った時の備忘録です。
古くは、平安時代の説話集「今昔物語」にも出てくる佐渡の金。
佐渡最大の金山、相川金山だけでも掘られた坑道は最深部海面下530メートル、坑道の総延長は約400キロメートルにもおよぶそうです
(東京〜新潟間の新幹線の距離が約334キロメートル)。
掘り出された金を含む鉱石(金鉱石)から、金を抽出する施設も当然必要なわけで、昭和の15年間という短い間に操業され当時「東洋一」の規模を誇った選鉱場の跡地が、今も佐渡島に残っています。
北沢浮遊選鉱場跡
昭和12年、日中戦争が始まると、さらなる増産体勢が計られ大規模な選鉱場が必要になりました。そこで建設されたのが「北沢浮遊選鉱場」。
金銀山で採れた鉱石を粉砕し、主に水と油、薬品からなる溶液で浮遊させ、金銀を抽出していた選鉱場。
佐渡のラピュタ
1940年、昭和15年に操業を開始し、1ヶ月に50,000トン以上の鉱石を処理する能力を備え規模、抽出量ともに「東洋一」を誇ったそうです。
むき出しのままのコンクリートの基礎
スタジオジブリの「天空の城のラピュタのようだ」と聞いてやって来ましたが、個人的にはラピュタに出てくるバズーの故郷、炭鉱の渓谷「スラッグ渓谷」に近いかなと感じました。
もしここに運搬用の鉄道の線路があったら、まさにここは「スラッグ渓谷」。
ラピュタの荘厳なイメージよりも、同じ鉱石を扱う労働現場の、労働者が働いていた雰囲気のような気配を感じたから。当時、選鉱場内では女性も働いていたそうです。
夜はライトアップもされるそうで、それを見たらまた違う印象を持つのでしょう。
シックナー
昭和15年(1940年)に完成した、シックナーと呼ばれる泥鉱濃縮装置。直径は50mにもおよびます。
こっちの方が、天空の城ラピュタぽいかな。
発電所跡
唯一、建物の原型を留めて残っているのが、明治に完成した煉瓦造りの発電施設。
中は、往時の写真等を展示しているそうですが、行った時は入れませんでした。
ここを訪れたのは、春のある日の夕暮れ時。
満開の桜も見下ろしていましたよ。
撮影機材:NikonD750 /AF-S NIKKOR 20mm f/1.8G ED / AF-S NIKKOR 300mm f/4E PF ED VR /