今回は、東京上野の国立東京博物館で開催されている「特別展 三国志展」について。
開催期間は令和元年 2019年7月9日(火)〜9月16日(月・祝)まで
東京が終わった後は、九州でも開催されるそうです。
音声ガイドは2種類から選べる
まず通常版の音声ガイドのナビゲーターは、歌手の吉川晃司さん。
吉川晃司さんが、吉川英治の小説「三国志」の名場面を展示物に沿って随所で朗読してくれます。
吉川晃司と吉川英治・・・。
もう1つは、「真・三國無双」シリーズとのコラボ。
曹操(岸野幸正)、曹丕(神奈延年)、夏侯惇(中井和哉)、関羽(増谷康紀)の4人の武将を担当する豪華声優陣による解説。
おなじみの横山光輝マンガ「三国志」と、NHK「人形劇 三国志」も!
横山光輝『三国志』原画「桃園の誓い」
各章の状況や場面説明には、横山光輝のマンガ「三国志」の原画や
NHK「人形劇 三国志」で実際に使われていた人形も、随所に登場。
三国志の数々の名場面や主要人物を、三国志初心者にもわかりやすく理解できるように工夫されています。
伝説のなかの三国志
「関羽像」 青銅製 明時代15〜16世紀
まず最初の目玉は、関羽雲長!
関羽は、三国志の中でも特に義を重んじ武勇に優れていたため、やがて中国では神様と崇められるようになります。
そして近年に近づくと、恰幅がよく立派な髭を生やすなど、だんだん誇張された関羽像が増えて来ます。
しかしこの関羽像は、そこまで誇張されず、オーバーな表現がされる以前の関羽の姿です。
それにしても関羽かっこいい。。。
中国にある三国志の登場人物の像を見ると、正直、ん〜〜?・・・と、
日本人には不気味な感じのする像が多いですが、こちらの関羽は本当にカッコイイです。
「趙雲像」木製 清時代17〜18世紀
赤子をお腹にくくりつけて奮闘する武将・・・とくれば、趙雲!
長坂の戦いでは、曹操の追撃を受け劉備は妻子を置いて敗走。
その劉備の子、阿斗(後の劉禅)を懐に抱いて敵中を突破して救ったのが忠義に熱く無敵の武将趙雲。
三国時代の武器
「玉装剣」中山靖王劉翔夫婦墓出土 青銅製 前漢時代(前2世紀)
これは三国時代の剣ではありませんが、前漢時代の中山王劉勝の墓から出土した青銅製の剣。
劉勝は酒と女を好み50人以上の子と、120人以上の孫がいたと伝えられ、劉備玄徳もその末裔と自称しています。
ちなみに三国時代になると、鉄製の剣が主流となりました。
「撒菱」(まきびし)青銅製 後漢〜三国時代・3世紀
蜀の黄忠と、魏の夏侯淵が戦った定軍山で大量に出土した、撒菱。
日本では忍者、忍びが使う武器として知られる撒菱ですが、もうすでに三国時代には武器として使用されていたようです。
「弩」(ど) 青銅製・木製 三国時代(呉) 黄武元年(222年)
横弓以外はほぼ完全な形で出土した弩(ど)いわゆるクロスボウです。
当時、弓よりも威力が強く的中率も高かった弩は、飛び道具の主要な兵器だったようです。
そして、この弩が展示されている、部屋の天井には無数の矢が飛び交っています。
赤い壁?に射られているので、赤壁の戦いのイメージでしょうかw
最近の東博の特別展では、少し驚かせるような演出が増えてきたように思えますが、赤壁を飛び交う矢の演出もなかなかリアルさがあり良かったですw
「石球」 石製 三国時代(魏) 3世紀 合肥新城遺跡出土
三国志のマンガやアニメでもよくお目にかかる、石球。城壁の上から敵兵めがけて落としたり、投石機で飛ばしていたと考えられています。
三国志演義 張飛蛇矛レプリカ 「真・三國無双」シリーズより
張飛が使っていたとされる蛇矛(だぼう・じゃぼう)のレプリカ。
主に「三国志演義」で登場する武器で、長さは4m以上もあったとか!
しかし、実際の蛇矛は三国志の時代にはまだなかったようです。
印章
「偏将軍印章」金印 金製 後漢時代 1世紀
関羽は、一時期、曹操の軍門に降ったことがありますが、その時に曹操から「偏将軍」に任命されます。
これは偏将軍の金印で
「偏将軍印章」と刻まれています。
関羽が実際に所持したという記録は残っていませんが、もしかしたら関羽が所持していたかもしれないと思うとロマンを感じます。
「曹休」印 三国時代(魏)3世紀
これは2009年に発見された曹休の墓から出土した印章。
曹休は曹操の親戚で、曹操に可愛がられたようです。曹休は呉の周魴の計略にはまって破れ、それがもとで憤死したとされています。
三国志の登場人物の中で現存する確かな印章は、この曹休印のみだそうです。
曹操高陵
数年前、曹操の墓発見!と大きなニュースになりましたが、今回の三国志展では曹操の墓、曹操高陵を実際に再現しています。
曹操の墓で発掘された、罐(かん)と呼ばれる三国時代の容器で、白磁だそうです。
それまで白磁は6世紀後半に誕生したとされていましたが、それよりも300年も前に既に白磁があったということが実証され、これも大きな発見だったようです。
石牌「魏武王常所用挌虎大戟」石製 後漢〜三国時代(魏)3世紀
「魏武王が愛用した虎をも打ち取る大きな戟(げき)」と刻まれており
魏の武王=曹操であることから、これが発掘されて曹操の墓だと確定したとのことです。
曹操は遺言に、葬式や副葬品は質素にすべしと遺しており、実際に豪華絢爛な副葬品等は出土しておらず、遺言通りの質素な墓だったと考えられています。
三国志お土産コーナーも見逃せないw
冒頭の超かっこいい関羽像のケース付きお菓子や
ご存知、諸葛孔明愛用の白羽扇のふせん!
「一日に千里を駆ける」と言われた赤兎馬のマスコットまであります。。
これらは中国で売られているお土産でしょうか。何気に黄巾族のハンカチが気になる。
うーーーんww
キティちゃんの三国志版もあったり
「真・三国無双」関連グッズや
やっぱりインパクトある、横山光輝マンガ「三国志」のTシャツ!
そして小出しで使いたくなるような、名場面をグッズにした数々・・・
缶バッジガチャもありましたw
「三国志おなまえはんこ」も、曹操、諸葛孔明、劉備と揃っていますw
三国時代は、今からおよそ1800年も昔
中国でも現存している当時の物は少ないので、正直どうなんだろう・・・と思っていましたが結論から言うと、当時の武器や生活、風俗、衣食住なども多く学べて、タイトル通りリアル三国志を感じることができて、とても楽しめました!
どれも個人的にも興味深い資料ばかりだったので6時間あまりじっくり鑑賞。
ただ、まだ始まって間もない時に訪れたためか、それともたまたまなのか、今年の冬に開催されていた「顔真卿展」よりも訪れている人が少ないような・・・
こんなに見応えがある三国志展なのにもったいない。
ぜひぜひみなさま、いざリアル三国志展へ参らんww
公式図録は展示説明よりも詳しく写真も綺麗でした。
三国志 Three Kingdoms Unveiling the Story
- 作者: 九州国立博物館,東京国立博物館
- 出版社/メーカー: 美術出版社
- 発売日: 2019/06/25
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
買おうと思ってたけど、閉館ギリギリまで粘って見ていたら買う機会を逃してしまいました。三国志展に行けない三国志ファンの方にもおすすめです。