今回は、「この世界の片隅に」の主人公すずさんが、原爆投下前の広島の街をスケッチした風景を訪ね歩きます。
結婚後1度江波へ里帰りをしたすずさんが、呉へ帰る日の朝、お父ちゃんよりお小遣いを五圓もらいます。そのもらったお小遣いで、すずさんはスケッチブックを1冊購入。広島の街をスケッチしながら広島駅へと向かいます。
広島県産業奨励館(原爆ドーム)
(原作・アニメ版・TBSドラマ版で登場)
現在の原爆ドーム、当時の広島県産業奨励館をスケッチ。
チェコ人の建築家、ヤン・レッツェルによって設計され、1915年に完成しました。当時は広島の物産や美術品を展示したようです。
原爆ドームの前にも、川へ降りる階段、雁木(がんぎ)がありますが、広島は江戸時代より水運が発達した地。市内の川沿いの多くの場所に雁木が作られました。
原爆ドームの場所も、江戸時代は広島藩の御米蔵があった場所。昔から経済の中心だったようです(ブラタモリ広島より)
中島町として広島屈指の賑わいを見せたこの場所も、現在は平和記念公園として整備されています。
そして原爆投下後71年が経った2016年5月27日には、現職のアメリカ合衆国大統領としては史上初めて、オバマ大統領もこの地を訪れました。
紙屋町交差点
(原作・アニメ版に登場)
相生通りと鯉城通りの交差する交通の重要地点。市電も紙屋町から宇品線が分岐します。
こちらは、2019年にリニューアルされた広島平和記念資料館の展示より、在りし日の紙屋町交差点。
現在も、交差点にはそごうやシャレオ、広島バスセンター、すこし北には県庁などもある経済・交通・行政の中心地です。
福屋百貨店八丁堀本店
(アニメ版に登場)
広島の百貨店といえば、福屋。その本店が、ここ八丁堀店です。
なお、原作では広島駅をスケッチするすずさんが描かれていますが、アニメ映画化にあたって改めて調べてみると、当時の広島駅の駅舎正面には大きな木造の出札所が増設されており、それがどんなものだったか資料や写真が乏しく外観を再現するのが難しいことから、広島駅の代わりに福屋百貨店新館にしたとのことです(劇場アニメ公式ガイドブックより)。
八丁堀本館は現存する被爆建物です。
戦中、建物は陸軍に接収され、その中で店舗としては小規模で営業していたようです。
原爆投下後は、野戦病院としても使用されていました。
胡子町カーブ
(アニメ映画に登場)
アニメ版で、福屋八丁堀店を描き終えた、すずさんが広島駅へと向かうシーン。
アニメ版には、被爆前の中国新聞社ビルも描かれています。
参考図書
「廣島中島本町ロケ地MAP」 発行:広島フィルム・コミッション
「劇場アニメ公式ガイドブック この世界の片隅に」双葉社
「ブラタモリ 9 平泉 新潟 佐渡 広島 宮島」NHK「ブラタモリ」制作班 (監修) KADOKAWA
他
www.tabijiphoto.com
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