夢見る旅路

江戸東京発今昔物語

歴史探訪、名所、読書録、カメラ、日用品などの雑記帳、備忘録。

6月23日慰霊の日。沖縄戦、南洋、無知、解釈。戦争を体験していない30代の手記。

6月23日は沖縄「慰霊の日」 

自分は戦後50年(1995年)を迎えた中学1年生の時、たまたま手にした「ひめゆりの塔をめぐる人々の手記」を読んで以来、10代〜20代初じめの頃は、沖縄戦には個人的に色々と調べ、実際に現地に足を運んで独り戦跡巡りをしていた。 

同年代の女学生が沖縄戦の激戦地に放り出され多くの教師や生徒が亡くなり、生き残った人々が戦後その体験を綴った手記は、当時の自分には戦争や平和に対する概念を大きく変えた1冊だった。

ひめゆりの塔をめぐる人々の手記 (角川ソフィア文庫)

ひめゆりの塔をめぐる人々の手記 (角川ソフィア文庫)

 

 

はじめて沖縄の戦跡巡りをしたのは、中学3年の3月。

中学を卒業して自分なりの「卒業旅行」として、貯金したお金とスカイメイト(当日空港で空席があれば、半額で飛行機乗れる制度が当時はあった)の会員証とバックパックを持って初めて沖縄へ一人旅に出た。

首里の司令部から、米軍基地とともに発展したいった嘉手納や、コザ。本島北部の離島で激戦地になった伊江島、そして沖縄本島南部と、路線バスとヒッチハイクでまわった宿はユースホステルや安宿。

はじめての沖縄の一人旅は、自分にとって大きな刺激が色々あった。

f:id:odekakeiku:20190623231813j:plain特に激戦地となり戦後多くの慰霊碑や平和祈念公園が整備された、本島南部の沖縄戦跡国定公園界隈。

それから沖縄へは高校時代は、ほぼ毎年いつも1人で通っていた。

しだいに沖縄戦以外にも沖縄の歴史や、芸術芸能、カルチャー、沖縄のポッポミュージカルから沖縄民謡や三線などの楽器、沖縄料理と、沖縄について広く多のものに興味を持ち好きになっていた。

 

沖縄戦を知らない、沖縄出身の大学生の比嘉さん

そんな沖縄好きの少年だった自分は、当時アルバイトをしていたコンビニで、比嘉さんという大学生の青年と親しくなった。

いつも遅刻してくる比嘉さんは、少しいい加減なところもあったけど、独特のユーモアがあり、彼のおかげで自分は楽しいバイトの時間を過ごしていた。

そんなある日、沖縄の話から話題は沖縄戦のことになったが、比嘉さんの言葉にショックを受けた。

「へ〜、沖縄でアメリカとそんな激しい戦争があったんだ・・・」

「俺、小学校低学年の時に、こっち(内地)に転校してきたら、そういうのよく知らないんだよね・・・。あーでも、なんかオバァが話してた気がするなぁ」と。

 

沖縄戦と南洋小唄、そして自分も無知だった

沖縄を3、4度目に訪れた時のまだ18歳くらいだった頃、その時も南部戦跡巡りを1人で周っていて、ある時、散歩をされていた年配のご婦人に道を尋ねた事があった。

「近くへ行きますので、一緒に行きましょう」

とご親切におっしゃっていただき、道すがら色々な話をした。

「沖縄戦の事を個人的に調べてまわっている」などと話していた時に、ふと

「沖縄戦の時は、どちらにいましたか?」と思わず質問していた。

「私、南洋にいたんです。」

若気の至りというか「南洋」と聞いて、当時好きでよく聞いていた嘉手苅林昌のアルバムの中の「南洋小唄」を真っ先に思い出し、固有名詞としての「南洋」を知っているくらいなのに

「あ〜南洋ですね?。では、沖縄戦に遭遇されなかったんですね。」

と、さぞや沖縄戦にあわなくて良かったですね。とも受け取られるような事を言ってしまった。ちなみに当時は南洋小唄の本当の歌詞の意味もよくわかっていなかった。

そのご婦人は、少し怪訝そうな顔をされ、それから何も話されなかった。

 

沖縄しまうたの神髄

沖縄しまうたの神髄

 

 

一口に「南洋」と言ってもサイパン、テニアンなど範囲は広く、南洋諸島の多くは当時、沖縄からの移民が多かった。そして沖縄戦と同じく南洋の島々でも多くの犠牲者を出した。

そんなことを知ったのは、もう少し後のことで、自分も無知であり、後日そんな無知な自分を酷く恥じた。

 

戦争に関する祈念日

6月23日(沖縄戦終結)、3月10(東京大空襲)、8月6日(広島原爆)、8月9日(長崎原爆)、8月15日(終戦記念日)などなど

その他にも多くの地域で、先の戦争の被害を偲ぶ日があり式典が行われる。

いくつかの平和祈念式典には何度か足を運んできたが、最近は形態が変わってきたり参加者も変わってきて、なかには微妙な違和感を感じる式典があるのも事実。

やはり戦争をリアルに体験している世代が徐々にいなくなっていき、戦争を体験していない世代が、「戦争」をそれぞれの感じ方、考え方で解釈する(自分もそう)。

先の戦争が、本当の意味で過去のものになっているな・・・と、30代の子を持つ自分でさえ感じる、今日この頃です。

 

ひめゆりの塔をめぐる人々の手記 (角川ソフィア文庫)

ひめゆりの塔をめぐる人々の手記 (角川ソフィア文庫)

 

 

www.tabijiphoto.com

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