夢見る旅路

江戸東京発今昔物語

歴史探訪、名所、読書録、カメラ、日用品などの雑記帳、備忘録。

虎ノ門金刀比羅宮 1月10日は七福神も集まる「初こんぴら祭」

Toranomon Kotohira-gu Shrine

今回は、虎ノ門金刀比羅宮初こんぴら祭について。

 

虎ノ門 金刀比羅宮

f:id:odekakeiku:20190110153348j:plain東京メトロ銀座線「虎ノ門」駅2番出口を出てすぐのところに、金刀比羅宮があります。

 

f:id:odekakeiku:20190110153404j:plainもとは四国讃岐国の丸亀藩京極家の藩邸内にあった金刀比羅宮。

江戸時代、毎月十日の縁日に限り藩邸を江戸庶民のために開き、参拝を許可していました。

 

f:id:odekakeiku:20190110155951j:plain境内には、江戸時代から良縁を求める多くの女性から信仰されている、結神社(むすびじんじゃ)もあり、今でも良縁祈願に遠くから参拝にくる方もいるそうです。

 

 

f:id:odekakeiku:20190110153351j:plain現在では、四方をビルに囲まれ、霞が関の官公庁なども近い大都会の真ん中に鎮座している虎ノ門金刀比羅宮。毎年、1月10日は年初めの縁日、初こんぴら祭です。

 

里神楽奉納

f:id:odekakeiku:20190110153359j:plain初こんぴら祭の、10時30分、13時、16時の3回、神楽殿で里神楽奉納。

 

七福神行列

f:id:odekakeiku:20190110153430j:plain初こんぴら祭の日、もっとも賑わいを見せるのが、七福神行列

 

寿老人

f:id:odekakeiku:20190110153445j:plain寿老人(じゅろうじん)

中国の伝説上の人物で、難を払うとされるうちわを持ち、鹿をつれていたそうです。長寿の神様。

 

布袋

f:id:odekakeiku:20190110153503j:plain布袋(ほてい)

大きな袋を持ち、人々から喜捨を受け歩いていたといわる実在した僧侶だったようです。夫婦円満、子宝、開運の神様。

 

福禄寿

f:id:odekakeiku:20190110153515j:plain福禄寿(ふくろくじゅ)

頭が長く髭も長いのが特徴の福禄寿。名前の通り、福と禄と寿の三徳をそなえているそといわれています。

 

弁財天

f:id:odekakeiku:20190110153521j:plain弁財天(べんざいてん)

七福神唯一の女神。音楽や芸能、学問の神様としても有名です。

 

恵比寿

f:id:odekakeiku:20190110153528j:plain恵比寿(えびす)

七福神の中で唯一日本の神様。長い釣竿と鯛を持っています。海上安全、商売繁盛の神様。

 

大黒天

f:id:odekakeiku:20190110153532j:plain大黒天(だいこくてん)

頭巾をかぶり、大きな打ち出の小槌を持っています。五穀豊穣、福の神様。

 

毘沙門天

f:id:odekakeiku:20190110153552j:plain毘沙門天(びしゃもんてん)

仏教を守る神様としても有名ですが長い槍を持ち、財宝を施す神様。

 

f:id:odekakeiku:20190110153619j:plain七福神一同そろい、七福神巡りを一度にすませたようなありがたい感じがしますw

 

恵比寿様と大黒様

f:id:odekakeiku:20190110153640j:plain恵比寿様の釣竿の鯛(めでたい)に触ると、いいことがあるそうです。

 

f:id:odekakeiku:20190110153654j:plain大黒様は、お菓子を撒いておられました。

鯛にも触れられず、お菓子にも恵まれなかった著者ですが(笑)皆様に福徳がおとずれますように。

 

初こんぴら祭式

f:id:odekakeiku:20190110153657j:plain正午から御神前にて、宮司様以下神職による祭典に参列できる機会に恵まれました。

 

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約30分ほどの厳かな祭典。

 

f:id:odekakeiku:20190110153833j:plain玉串を奉納させていただき、最後にお神酒をいただきました。

 

f:id:odekakeiku:20190110211730j:plain七福神も集うありがたくも楽しい、初縁日、初こんぴら祭でした。

ご覧の皆様にも、たくさんの福がおとずれますように。

 

はるなつふゆと七福神 (ディスカヴァー文庫)

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「日本の神様」がよくわかる本 八百万神の起源・性格からご利益までを完全ガイド (PHP文庫)

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無印の手帳 マンスリーノート A6 さらに薄く軽くシンプルに

無印の手帳 マンスリーノート A6 さらに薄く軽くシンプルに

MONTHLY NOTEBOOK  

 

マンスリー・ウィークリーノートと、マンスリーノート

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2018年までは、無印のマンスリー・ウィークリーノートA6を3年使用していましたが、2019年は、マンスリーのみの手帳に変更。

 

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無印マンスリーノート

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外見は、マンスリー・ウィークリーノートと同じ。

価格は税込590円とリーズナブル。

 

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されど、当然、ウィークリーの部分がないので、薄く軽くなっています。

 

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2018年まで使用していたマンスリー・ウィークリーノートは、重さが147g

 

f:id:odekakeiku:20181231141908j:plainマンスリーノートは90g、約60gも軽くなっています。

1年中肌身離さず持ち運ぶものなので、軽ければ軽いほど良いです。

 

仕様

f:id:odekakeiku:20181231141835j:plain最初は、マンスリー・ウィークリーノートと同じく3年カレンダー。

 

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次のページを開くと、イヤープラン。2018年までのノートには無かったような。1年を俯瞰して見れるので色々と使えそうです。

 

f:id:odekakeiku:20181231141919j:plainメインのマンスリースケジュールは見開き。月曜始まり。

当然、開いたときに閉じないフラット製本。

 

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マンスリースケジュールのあとは、方眼罫が49ページほど。

 

f:id:odekakeiku:20181231141936j:plainマンスリーのみの薄い手帳の方にも、しおり紐が付いています。

 

ビニールカバー

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手になじみやすいやわらかさと厚さが良いビニールカバー。

 

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異なるポケットが両方についています。

 

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手帳のポケットは超重要。地下鉄の路線図は毎年必ず入れているかな。

手帳会社の手帳を使っていた頃いつも思っていたけど、全国の都市のの地下鉄路線図ほどいらないページはなかった。出張族だったけどほとんど見ることなかったし、一年中肌身離さず使っている手帳に、いらないページがあるだけストレスだった。

無印の手帳は、最低限の機能だけで自分にあわせてカスタマイズしやすいのがとても良いです。

 

 

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10月19、20日は「べったら市」東京を代表する秋の風物詩。日本橋宝田恵比寿神社

今回は、毎年10月19日20日に東京日本橋本町宝田恵比寿神社で開催される「べったら市」について。

 

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最寄駅は、東京メトロ日比谷線の小伝馬町駅。

 

他、銀座線、半蔵門線の「三越前」や、JRの「新日本橋」からも近いです。

 

小さな神社の、歴史は古くて大きな伝統行事

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10月は神無月。諸々の神様が出雲に出向いて、出雲以外は神様がいなくなってしまう月です。

でも恵比寿様だけは、古来から留守居をしておられると言われ、神々がいなくなってしまう10月、その土地を守る留守神様としてお祀りする恵比寿講が全国で行われます。

「べったら市」で有名な宝田恵比寿神社は、普段はそこに神社があるのに気づかない人もいるくらい意外と小さな神社です。

 

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毎年10月20日の夷講にあわせて、前日の19日から夷講に必要な用品をそろえる市が江戸時代より開かれていましたが、いつしか浅漬大根(べったら漬け)を売るのが主の市になりました。

それが今では「べったら市」として東京を代表する秋の風物詩となっています。

 

べったら漬け

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べったら漬けは、大根を麹で漬けた江戸東京を代表する漬物。

ぽりぽりとした歯ざわりと甘さで、個人的にはこの時期に出回る新米と一緒に食べるのが最高の贅沢ですw。

ちなみに、江戸時代は練馬大根を使用していたとか。

 

べったら市でしかあまり見られない「皮付き」

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べったら市で特におすすめは、皮付きのべったら漬け。

本来、べったら漬けは厚く皮をむいて漬けるものが主流ですが、べったら市には「皮付き」のべったら漬けも並びます。

栄養が豊富なのは皮とその周辺。食感もさらにポリポリ感アップです。

 

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どの露店でも味見をさせてくれるので、本来の「皮なし」と「皮付き」の味を比べてみましょう。

たいていどこも相場は「皮なし」100g 300円、「皮付き」100g 400円あたりのようです(2018年)。

 

味は店によって様々

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べったら漬けも、店によって味、風味、食感が様々です。

 

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赤カブのべったら漬けを、販売している露店もありました。

 

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お店によっては、大根の葉をサービスしてくてるところもあります。チャーハンとかに混ぜても美味しそうですね。

 

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臨時の郵便局も出ており、全国に発送もできます。

 

「べったら漬け」以外に、特売セールなども

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「べったら市」では、べったら漬け以外にも多くの露店が立ち並びますが・・・

 

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昔より10月20日は誓文払いと呼ばれる、特売の日

本来、誓文払い(せいもんばらい)とは、商売の駆け引きで客に嘘をついた罪を払うため、罪滅ぼしとして特売で販売する日です。在庫一掃の格安で販売するお店も多く、この「べったら市」のもうひとつの目玉になっています。

 

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宝田恵比寿神社のすぐそばにある、1653年創業の小津和紙。

 

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こちらでは、紙製品の特売をしていました。

 

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せっかくなので、こちらの紙の福袋を500円で購入。

ティッシュ、マスク、ラップ、ホイル等々、総額2000円以上はしそうな日用品がたくさん入っていました!

 

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いろいろと楽しめた宝田恵比寿神社の「べったら市」でした。

 

参考資料:「東京の植物を語る」著者伊藤隼 文啓社書房 昭和10年出版(国立国会図書館) 他

 

冷蔵庫で作りおき! 野菜たっぷりの漬け物レシピ (食べてすこやかシリーズ)

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テープ台も色々。百均、コクヨ カルカット、ソニック テープカッター スリム

やはり、2度あることは3度ある。

百均で買ってはいけないもの1つはテープカッター、セロテープ台かもしれない。

 

百均のテープカッター

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今回で3代目の百均セロテープ台。今回は特に短く、使用期間3ヶ月ほどだった。

 

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今回も、初代、2代目と同じく、テープの回転軸が折れて使えなくなった。

 

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それと、今回はもう1点、底に張り付いていた滑り止めのゴムのマットがベロベロになり剥がれてしまったのだ。

このゴムのマットがないと、テープ台が動いて使いにくい。

しかし、底のゴムマットが剥がれたのは初。今年の異常な暑さもあったのかもしれない。

軸が折れテープがうまく引き出せず、そしてテープ台があっちこっちに動くストレス。そして子供もよく使うので、これではいつ怪我をしてもおかしくない。

 

無印のテープディスペンサー

もう百均のテープ台は買わないことにする。

さて、次はどの台にしようか。

無印テープディスペンサーも気になっていたが、無印のサイトでの評判がいまひとつよろしくない。肝心の切れ味が悪いという。

(無印のサイトの商品口コミは、意図的に操作していないのが良いですね。)

www.muji.net

 

コクヨ テープカッター カルカット

続いて気になっていたのが、コクヨのテープカッター カルカット

テープカッターも進化している。

このカルカットは、刃が特殊でギザギザになっていない。そして名前のように、従来品よりも軽い力でカットができるようだ。

そして、刃がギザギザになっていないことで、テープの切断面も綺麗(ギザギザにならない)で、刃にテープのノリが残らなく切れ味も長持ちするという。

コクヨ テープカッター カルカット 白 T-SM100W

コクヨ テープカッター カルカット 白 T-SM100W

 

 評価等を見ても、「もう今までのテープカッターには戻れない」等々の高評価。

ただ、個人的に気になった点は、ちょっと大きい。

幅が7センチ超えの、奥行きの長さが約20センチある。

我が家の小さな机には、ちょっと大きい。

 

ソニック テープカッター スリム

 いろいろ悩んだ挙句(たかがテープカッター、されどテープカッター)。

今回は、ソニック テープカッター スリムという商品にした。

 名前の通り、スリムらしいのと、値段が安いわりには評価も良い。

 

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ただ、ネットには正確なサイズ表記がなかったのだが、届いてみると、これはこれで、けっこう大きい。

測ってみると、横幅約6センチ、奥行きの長さは19センチ弱。でもコクヨのカルカットよりかは一回り小さいから、我が家はやはりこれで良かったかな。

ただ、高さが高いな。ここまで高くしなくても。なにか理由があるのかな。

 

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通常の大巻テープだけでなく、小巻テープも軸の内側にセットして使える。

 

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底の滑り止めも、百均のそれとは比べ物にならないほど、しっかりした作りだ。

これで300円弱。

100均もあの作りで108円・・・考えようによってはお高い気がする。

 

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呉の地名の由来は、九つの嶺の九嶺?造船用材の榑? この世界の片隅にを歩く番外編

呉の地名の由来は九嶺(くれい)?榑(くれ)? 

 

呉の地名の由来は九嶺?

戦後、広島駅前で原爆で母親と死に別れた孤児と出会い、その子を連れて呉に帰るすずさんと周作さん。

呉に着いて、周作さんが孤児を背負い語りかけるシーン。

見い

九つの嶺に守られとろう

ほいで九嶺いうんで

うしろは海

右のんは休山

左のんは鉢巻山

その向こうが広島よ

ほいで まん中のんが灰ヶ嶺・・・

「この世界の片隅に下巻 」P150-P151 こうの史代 双葉社 

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

 

好きな名場面です。 

 

f:id:odekakeiku:20180731235913j:plain堺橋から灰ヶ嶺を望む

それで、他の六つの嶺は何だろう?と気になってしまい、図書館で「呉」の地名の由来を調べてみると、「呉」の地名由来で意外な事実が・・・

呉市発行の「呉の歴史」には「呉」の地名の由来について

一方、「船木郷」は、安芸郡域の森林資源を育成・伐採し、造船用材である(くれ)の製材を生業とする山民を「編戸」して設定した「郷」であった。

ふるくから呉市西惣付にある小字「舟木」が船木郷の地に比定されているが(『芸藩通志』など)、みとめてよいと思う。

「呉」という地名の起源を、「呉」の文字から中国から来た渡来人と関係するとか、「クレ」の音から「九嶺」すなわち九つの嶺に囲まれているからだという語呂合わせ的な説はとるに足らず、むしろ造船用材の榑(くれ)の製材をおこなったところに由来するとみるべきであろう

「呉の歴史」第二章古代の呉 第二節 安満郷呉浦と船木郷 P28-P30 呉市発行

ありゃぁ〜;

「呉の歴史」では、呉の地名の由来の「九嶺説」は、語呂合わせ的な説でとるに足らないと一蹴していました(涙

 でも、「呉」の地名の由来の説で、最も有力だとされている、造船用材の「榑(くれ)」から来た説

f:id:odekakeiku:20190325150804j:plain※榑(くれ)・・・切り出した板、材木。加工して建築物や船、その他もろもろに使用する。写真はイメージ。

 

f:id:odekakeiku:20190803113526j:plain歴史の見える丘より、大和ドック跡地

考えてみれば、そのはるか後に、呉に東洋最大の海軍工廠ができ

f:id:odekakeiku:20190803113603j:plain戦艦大和の塔

戦艦として史上最大の排水量を誇った「大和」を作ることになるわけで、「呉」の由来が造船用材の「榑」から来ていたという説も、その後の東洋最大の造船の街へと繋がっているようでもあり、なかなか興味深い気がしました。 

 

とはいえ、やっぱり「九嶺説」も、捨てがたい。。。

 

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呉・江田島・広島戦争遺跡ガイドブック〔増補改訂版〕

呉・江田島・広島戦争遺跡ガイドブック〔増補改訂版〕

 
この世界の片隅に

この世界の片隅に

 

 

こうの史代作「この世界の片隅に」と、山代巴著「この世界の片隅で」

気づいている人は多いと思うけど、「この世界の片隅に」のタイトルついてほんの少し。

 

「この世界の片隅に」と、山代巴の「この世界の片隅で」

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 こうの史代先生の「この世界の片隅に」と、岩波新書の山代巴の「この世界の片隅で」 

この世界の片隅で (岩波新書 青版 566)

この世界の片隅で (岩波新書 青版 566)

 

 一文字違いだけど

「この世界の片隅」(こうの史代)

「この世界の片隅」(山代巴)

両書とも原爆に関係はしているが、内容はかなり異なる。

山代巴の「この世界の片隅で」は、広島原爆投下後の諸問題についてのルポルタージュ。

当然、すずさんも周作さんも、呉も江波も出てこない。

1965年発行と古い本だが文章的には読みやすい。だが内容はかなり重いのです。

原爆で小頭症になった子を持つ父親が、医療の必要がない、医療では治らないという理由で何も援護しない無視を続ける日本政府ではらちがあかず、直接米軍の司令官に当てた嘆願書を書く・・・などは読んでいて、同じく子を持つ親として目頭が熱くなった。当然無視されるのだが。

原爆投下後70年以上たった現在、こういう種の本は出ることがまずなくなったので、ある意味貴重な一冊なのかもしれない。

(こうの史代先生の)「この世界の片隅に」のヒットによって、同書も2017年に復刻されました。

 

「この世界の片隅で」というタイトルも、東京オリンピック開催(1964年)など高度経済成長期でもはや戦後ではないと言われつつあった当時、被爆地ではこんなに苦しんでいる人たちがいるというところから付られけたのかもしれない。

 

f:id:odekakeiku:20180920122129j:plain原爆スラム跡地 基町堤防

そして、かつて広島の基町にあった原爆スラムについての記述も多くある。

こうの史代先生の代表作の1つ「夕凪の街 桜の国」にも原爆スラムは出てくる。

 

「夕凪の街 桜の国」と、大田洋子の「夕凪の街と人と」

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

 

 「夕凪の街 桜の国」は、原爆スラムで原爆症を発病しながら現代と過去との葛藤に悩まされながらも、淡い恋を感じつつ生きて行く女性(皆実)と、その後に続く人々の物語。

 

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そして「夕凪の街 桜の国」も同様に、戦中戦後の流行作家で戦後原爆作家としても著名な大田洋子の「夕凪の街と人と」と、戦中に書かれた「桜の国」からつけられた。

 「夕凪の街と人と」は、原爆スラムやそこ生きる最下層の人たちをとりあげているが、( 大田洋子の)「桜の国」は逆に、戦中に書かれたもので、むしろ内容的には戦意高揚的な作品(桜の国は、ストーリー的にあまり面白みを感じず、まだ読了していません;)。

 

余談だけど、凪とは、風が止まる状態のこと。

 

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広島は三方を山に囲まれ、七つの川が瀬戸内海にそそぐ。夜は陸から海に風が吹き、昼間は逆に海から陸に風が吹く。そして、朝と夕方、風が止まる時がある、それが凪。

夕凪に対して朝凪もあるけど、夕凪は特に暑さが厳しい。

「夕凪の街」というびは、なかなか考えさせられるタイトルだ。

 

こうの先生は、なぜ過去の著作と似たタイトルをつけたのか・・・

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なぜ過去の著作と似たタイトルをつけるのだろう?

こうの先生はかつて、ファン掲示板で「この世界の片隅で」は存在は知っているが読んではいないと書いておられた。

また、こうの先生は「私たちは戦争を知っている人と交流できる最後の世代」ともおっしゃっている。

山代巴も大田洋子ももうこの世にはいないが、今ではもうほとんど読まれていない原爆関連の過去の作品(戦争を体験した人々が書いた本)がまだ手に取りやすい最後(?)の世代に、少しでも気づいてもらえたらという思いもあるのかな。

現に山代巴の「この世界の片隅で」は、復刻されたわけだし。

 そして、両書を手にとった私でした。

ちなみに大田洋子さんとはたまたま縁があって、かなり前にだけど「屍の街」は読みました。

 

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この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

 
この世界の片隅で (岩波新書 青版 566)

この世界の片隅で (岩波新書 青版 566)

 

 

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

 
大田洋子集 (第3巻)

大田洋子集 (第3巻)

 

 

呉 音戸渡船。潮の流れが早く大型船の往来も多い難所もなんのその。この世界の片隅にを歩く12

前回の、巡洋艦青葉終焉の地から音戸渡船まで歩いて行きます。

 音戸の渡船も「この世界の片隅に」の終戦後、物々交換で島を渡るシーンで少しですが出てきます。

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呉駅から音戸まで歩く

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呉駅から青葉終焉の地まで歩いて来たので、このまま音戸渡船まで歩いてみることに。

ちなみに、呉駅からバスの本数は多いので、通常はバスがおすすめです。

 

 

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といっても、呉駅からだと海岸の道で7〜8km。なかなかの距離です。

すずさんと刈谷さんはリアカーを押しながらずっと歩いてきたわけで(さらに歩く)。

 

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ようやく音戸へとやってきました。手前は最近できた第二音戸大橋。

 

音戸渡船

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 音戸渡船は、音戸の瀬戸と呼ばれる、本州と倉橋島の海峡を渡ります。

その距離、約90m。ゆえに日本一短い航路とも呼ばれています。

 

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船着き場のターミナル(笑)は・・・小さなレトロな木造家屋のような小屋。

 

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料金は大人100円。子供150円。自転車150円。バイク200円。

朝5時半〜夜20時まで運行しているようです(2018年5月)。

 

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ちょっと古ぼけた張り紙を見て、少し驚きました。平成28年3月までは、大人片道70円だったとのこと。

第2音戸大橋の開通や少子化の影響によるものだそうです。

改定後の定期代1ヶ月の定期2500円、学生1500円も安いような。

 

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この音戸渡船には、時刻表がありません。

桟橋で待っていれば、向かいからやってくるようです。

人がいれば運行。なんとも贅沢な。

 

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桟橋に係りの人はいません。お兄さんがいるだけです。

 

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ちょうど、向かいから人を乗せた船がやってきました。

 

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日頃利用されてる地元の方々には日常なのでしょうけれど、旅行者にとってみればわくわくする遊園地のアトラクションのようです。

 

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船に乗船して出航

 

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あっと今に到着です。時間にして3分かからないほど。

 

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倉橋島側も、レトロな雰囲気の発着場です。

道路の路面に、発着所を指した矢印と「呉」の文字。

 

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自転車道の案内のようです。

 

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いつまでも残ってほしい、音戸渡船でした。 

 

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この世界の片隅に

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